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不動産の共有名義

 

ご相談内容

新たにマイホームを購入することにしましたが、不動産業者から「名義は夫婦の共有名義にしますか?」と尋ねられた。共有名義にした方がよいのでしょうか? 

問題点の確認

共有名義とは、共有者が共有物の全体をそれぞれの持ち分に応じて使用することをいいます。(民法249条)

共有名義にした場合、検討事項はつぎのようになります。

なお、ここでは共有名義の不動産はその共有者が共に居住している場合とします。

1.      共有名義の不動産を他人に譲渡する場合

2.      共有名義人の一人が亡くなった場合

3.      住宅ローンを借りる場合

4.      都市計画税、固定資産税について

5.      購入資金について 

問題点に対する考え方

1.      に対して

個人が自分で住んでいる住宅を譲渡した場合、その居住用財産の譲渡益から3000万円の特別控除があります。(措法35条1項)

この場合、その不動産が共有であればその持ち分に応じて3000万円の特別控除が受けられます。なお、土地は共有でも家屋に対する持ち分がない場合には適用されない場合もありますので注意が必要です。

従って取得時において一人の名義で登記するよりも共有で登記した方が、税法上のメリットがあるといえます。但し、これは当該不動産を譲渡し、譲渡益がある場合に発生します。

2.      に対して

共有名義の一人が死亡した場合、その人の持ち分は当然相続の対象となります。

例えば夫婦と子供一人の家族とし、4000万円の不動産を夫婦で共有(夫50%の持ち分)しており夫が死亡した場合、2000万円が相続対象となり、妻に1/2の1000万円、子供に1000万円の相続が発生します(但し法定相続の場合)。

これに対し、共有でなく、例えば夫一人の所有の場合は、4000万円が相続の対象となり、妻に2000万円、子供に2000万円の相続が発生します。

相続が発生した場合、相続税について検討する必要があります。

ところが相続税が発生する場合、基礎控除があります。

基礎控除は、妻と子供一人であるので7000万円になります。ところで基礎控除を超える相続が発生するのは10%以内といわれていますので、通常の場合は問題にならない場合が多いと思います。

3.      に対して

住宅ローンで共有と関係のあるのは、住宅ローン控除です。

以下、平成20年に借り入れる場合を想定して住宅ローン控除のお話を進めます。

借入額の年末残高に対して次の式による税額控除があります。

住宅借入金等の年末残高×控除率

年末残高のうち2000万円以下の部分に対して

1年目から6年目について1%

7年目から10年目について0.5% 控除され、最高10年間で合計160万円の控除があります。

例えば1年目は最高2000万円×1%で20万円の控除がありますが、この場合例えば夫の税額が20万円以下の15万円の場合15万円までしか控除されません。

これに対して、共有(例えば50%の持ち分)であれば、夫から10万円を控除され、残りの部分は妻に所得(10万円以上の所得税がある場合)があれば10万円の控除が受けられます。 従って、共有の方がメリットがあります。

なお、19年度改正により、期間は15年間で、一年当たり控除率が少ない控除の方法もあります。これは収める所得税額がもともと20万円以下であり、控除額が全て控除できない場合に有効です。但し、合計控除額はどちらを適用しても同じです。

4.      に対して

  固定資産税、都市計画税の税額は次の式によって算出されます。

固定資産税台帳の登録価格×税率

単独登記の場合はその所有者に上記式による税額が課税されます。

共有の場合は、その持ち分割合に基づいて課税されます。

従って共有が夫婦の場合は、家計としては単独登記となんら差異はないこととなります。 

5.      に対して

共有登記するために共有者は、それぞれ資金を出す必要があります。

夫婦が共有者となる場合、結婚前にそれぞれが持っている貯蓄はそれぞれの財産になります。問題は夫婦が結婚後蓄えた貯金の所有権はどちらになるかです。

この場合民法762条2項では、「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。」と規定しています。

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